けもフレ2が生み出したモノとサーかばの話
平成最悪どころか、自分の中では史上最低のアニメになった問題作『けものフレンズ』。まずはまずは声優陣に対してお疲れ様を言いたいです。強烈な同調圧力の中で嫌でも主演作を持ち上げないといけないのは筆舌に尽くしがたい苦行であったことでしょう。
個人的にはイルカちゃんの声が一番好みです。カラカスの人や意味深クソバードコンビも、演技自体はとても良かったです。みなさん、まともな作品だったらもっともっと輝けると思いました。本当にお疲れ様でした。自信持ってね。こんなので懲りちゃ駄目だよ。
はい、褒めるとこ終了。
では本題の、四神がひり出したそびえ立つ糞についてです。結末を何パターンか予想して考察文を練ってたんですが、いざ最終回を見てみたら、もう考察も何もあったようなもんじゃないですね。
2の目的は、このコンテンツがこれまでに歩んできた道を、築き上げてきた物を、全否定すること。それを達成できれば作品としての質や評判なんてどうでも良かったのでしょう。「それは違う」というのなら、納得の行く御高説を賜りたいものです。
有り体に言えば『原作レイプ』の構図なんですが、利益度外視の公式自信によるヘイト創作というのは寡聞にして存じません。よほどたつきとそのファンが憎かったんだな、と。
サーかばの扱いももちろんですが、フェネックのゆるーいチョップで爆散するセルリアンのシーンは自分の中でけもフレというコンテンツとそれに関わる全てが茶番へと変わった決定的な瞬間でした。もう考察なんて無意味です。
ビーストはたつきや福原Pを投影したキャラだと思います。実力は認めるけど、言うこと聞かないから、のけものにして、利用するだけして捨てた。それを描きたくて出したキャラでしょう。その説で一本記事書けそうだけど、もうどうでもいいや馬鹿馬鹿しい。
何もかも破壊し尽くして、吉崎・細谷は無事にお山の大将に返り咲くことができました。めでたしめでたしーーと思っているのかもしれませんが、これは終わりの始まりです。本作は、クリエイティブとしてもビジネスとしても大失敗です。
頭2.6%だと「何がどう悪かったのか」という理解すら至れないようなので、2期オリジナルの部分についてのみ具体的にどう駄目だったのか事実陳列していきます。
目次
1.実力が疑われる稚拙で散漫なストーリー
キャラのモーションがショボいとか、脚本がガバガバだとかいう映像作品としてのクオリティの低さというのは予算配分やスケジュール管理の問題から発生してくるのが常です。金と時間さえあればそれなりのモノは出来上がるはずなのです。
どれだけ作品への愛があっても、時間がなければ良いモノは作れません。人を増やそうにも、予算がなければ人を雇えません。つまり、稚拙で散漫なストーリーは、予算とスケジュールの手順を握っている人間の実力不足から来ているということです。
そうやって下請けいじめが連鎖していった結果、末端の中国人が一矢報いようとして絵コンテ流出という事態に繋がったのでしょう。監督すらも重要キャラの設定を上から知らされていないだなんて想像を絶する地獄のような制作環境であったことがうかがえます。
そして、制作を急いだ理由も、たつきに対抗するためにケムリクサにぶつけただけです。話題の分散という意味では狙い通りになった面もあるんでしょうが、ぶつけてみた結果すり潰されて自分らのコンテンツが瀕死になるというギャグ漫画みたいな展開です。
「糞アニメだ」と言い捨てるだけなら気楽なものですが、その裏で奴隷扱いされる下請け業者に想いを馳せると、同情を禁じ得ません。一方で“偉い人達”は「低予算で神作を作り出せない下請けが悪い」と居直るのが常です。本作にはそういう業界の闇が凝縮されています。
2.良識が疑われる嗜虐的な描写
映像作品としてどうしようもなくショボい割に、動物ファーストを標榜するような、残忍で嗜虐的なシーンだけはやけにこだわって描写されます。ここが2つ目の問題点です。
話の本筋や大量の伏線?の回収を差し置いてそういうシーンだけは時間を割いて丁寧に描くせいでただ拙いだけでなく、悪意の込められた作品だと感じてしまいます。1期への悪意とはまた別の、いじめっ子気質のような何かです。
11話のドナドナシーンはわかりやすい例です。全員集合の高揚感を事前にぶち壊す悪手を取るのはどうぞご自由にですが、フルルを落とすというストーリーと無関係な毒気のあるシーンをわざわざ盛り込んでいます。
『トラクターの進路変更』は『フルルが落ちること』にしかかかってません。そこで何か重要なアイテムを拾うとかでもなく『フルルを落としたいから落とした』としか受け取れません。こんなのは人間の業ではなく、製作陣の業を描いてるだけです。
落ちそうになってアワアワしてるフルルを、PPPメンバーみんなで抱きかかえて戻してやるだけで、メンバーのかわいさと絆アピールができたはずです。まぁ、ヘイト創作にマジレスするだけ無駄ですね。スポンサーやコラボ企業のイメージはしっかり損なわれましたが。
3.社会性が疑われるSNS上での場外乱闘
極めつけは、製作陣の人間性が問われる言動の数々です。これはまぁ、見たまんまですね。仕事用のアカウントであけっぴろげにどったんばったん大騒ぎ。視聴者を煽り、それを善意から諌ようとする人もブロック安定。狂気の沙汰です。
ツイ歴でマウント取ったり、イキって住所晒して消さずにいたりなど、見るに耐えません。1年半に渡って誹謗中傷を受け続けても耐え抜いて、作品の質で世間を見返したたつきや福原Pとは大違いです。作品だけではなく、人間としても失敗を喫した印象です。
これら3つの問題点と原作レイプ要素がデフレスパイラルとなってコンテンツ全てを虚無と胸糞に塗り替えてしまいました。失った信用や逸失利益は計り知れません。そこまでした代わりに今回KFPが生み出したモノが1つあります。それがーーコイツです
結局何者だったんですかねコイツ。アプリ版の主人公=園長で正解だったんでしょうか?それとも何らかの理由でコールドスリープしてた一般来園客?果たしてコイツは、今後の商業的な象徴として使い物になるんでしょうか?かわいくも何ともないんですが(直球)
勝手におうち宣言して、パークをゆっくりプレイスにするようですが一生絵を描いちゃいけない身の上にされた不憫なキャラです。総監督が外部でまで押すほどの肝入りキャラらしいので今後露出が増えていくのでしょうが、全く応援する気が湧きません。
アプリ組の復活というのは良い着目点なんですがキュルカスがカスでしかないのか致命的です。キャラとしての背景が分からず、成長したとも言えず、性別すら定かじゃない謎の『お客さん』として、話が終わってしまいました。
こんなキャラを世に送り出すために全てを犠牲にしたと考えるとやりきれない気持ちでいっぱいですがその最大の犠牲者となったサーかばについて、自分なりの見解というか妄想を垂れ流す形で、今回の総評としたいと思います。
4.サーかばに関する冷奴
1期ファンの視点から見ると、2期はサーバルちゃんがキュルカスにNTRれたように感じてしまいますが総監督視点から見た1期は、サーバルちゃんがかばんちゃんにNTRれたかのようだったのかもしれません。
1期であれほどがっちりサーかばの絆を描いてしまいそれを視聴者も大いに支持しているのが我慢ならなかった、そこで取った方法が、『サーバルちゃんの記憶を消す』という禁じ手だったのではないでしょうか。
かばんさんの外見年齢から察するに、2期の舞台は1期の頃から結構な年月が経っているように見受けられます。この間、おそらく旅の途中で、サーバルちゃんはセルリアンに『食べられてしまった』のでしょう。
動物にまで戻る事態は避けられましたが、記憶は失ってしまいました。右も左もわからなくなったサーバルちゃんの身を案じたかばんちゃんは旅を中断し、サーバルちゃんをさばんなちほーへ帰します。
辛く悲しい日々が続き、性格もリアリスト的に変わってしまいましたがそれであきらめてしまうかばんちゃんではありません。だって、あのかばんちゃんですから。今かばんさんが行なっている研究は、サーバルちゃんの記憶を蘇らせるためのものに違いないです。
未だにその研究は身を結んでいませんが、今回突然目覚めたキュルカスがきっかけとなって長年の時を経て、サーかばは再開を果たすことになりました。
別人と化したBOTサーバルと接しても辛くなるだけなのでドライな対応に徹するかばんさんでしたが、カラカル経由でサーバルちゃんにはおぼろげながらヒトとの旅の記憶があることを告げられます。これはかばんさんにとって予想外の嬉しい報せでした。
そしてかばんさんは、最終回で勇気を出してサーバルちゃんに話しかけます。かばんさんではなく、かばんちゃんとして、思いを伝えるためにーー。
あの「かばんちゃん」呼びは、1期ファンからすると胸糞でしかありませんが、この世界線のかばんさんにとっては、救いを見出し得る大きな一歩となったはずです。そしていつの日か、中断した旅を再開する日もやって来る。自分はそう解釈することにします。
まぁわざわざキャラを不幸にして希望を持たせるっていう安直な見せ方で感動させようとして失敗してるだけなんですけどねえええええええええ
ただ、両親の呵責からか、ビジネス上の憂慮からか、今後の保身を考えてのことか、サーバルちゃんにかばんちゃんを拒絶させられず二人の関係性を破壊し尽くせなかったのは、2期がどうやっても1期を超えられなかったということを意味していると思います。
過去設定を後出しして1期の上書きを図ろうだなんて、「正攻法では勝てない」と踏んで取った悪あがきに他ならず、クリエイターとしての自殺を公言するぐらいにダサいやり方です。ヘイト創作はヘイト対象が存在しないと成立しない点で、二次創作に成り下がってしまうんです。
多くは望まないから、それなりに面白い2期を作ってくれたらそれで良かったんですけどね。「それじゃたつきに勝てない」と思ってあろうことか公式が呪詛兄貴路線へはしっちゃったというオチですかね。結果はご存知の通り2期の惨敗です。遊戯王アークファイブには勝っちゃいましたけど。
絵描きと局Pと酔っ払いと置物だけでは、ヘイト以外の話の部分は誰も作れず、「最後に亀裂を飛び越えさせよう」「その発想はなかったすっごーいすっごーい!」「それにしてもたつきうぜえなムクムク!」みたいな内輪ノリでこんな激寒な話が出来上がったんだと思います。
仮に悪意の自覚すらないサイコパス集団のアニメ作品であったとしても胸糞要素でどうにか闇を持たせてる虚無アニメでしかないんですよね。今回でIPにも味噌がついてしまったことだし、この際作品名を「きょむ ときどき むなくそ」に改めてはいかがでしょうか?
5.さようならけものフレンズプロジェクト
これまでの全てを否定した上で、全く別物だけど魅力を感じさせる“新しいけもフレ”を提示できていたなら、不満は出ても一定の支持は得られたと思います。しかし、出来損ないの続編で全てを塗りかえようとする今回の所業で、コンテンツへの愛想はすっかり尽きました。
また、本作を通じて自分は別にけものフレンズではなくirodoriの作品が好きなだけだったのだと気付かされました。けもフレの惨憺たる出来栄えが呼び水となってケムリクサの評判を底上げした面があるのは痛烈皮肉です。
あるいは、これから本格的に始まりそうな責任のなすり付け合いこそが人間という動物の業を赤裸々に描く“新しいけものフレンズ”なのかもしれません。それはそれで一定の需要がありそうですが、もっと前向きな『ここすき』を追求したいので私は遠慮しておきます。